スポンサーサイト
- --/--/--(--) -
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事のURL | スポンサー広告 | ▲ top
『グスタフ、君はもう自分のBlogと共に墓に入れ・・・』
- 2010/11/28(Sun) -
(撮影協力:貴重なこぐお君のようせいさま)









リド島の船着き場に着いた彼は、ひどく不愉快だった。

蒸気船内では、死化粧のようなおしろいで顔を包んだ不愉快なイタ公に絡まれ、

荷物を運ぶゴンドラは、許可を取らずに営業しているモグリの若造だった。


death in benice1


すぐさま彼はホテルに部屋をとった。サロンには上品な装いの観光客が集まっている。

death in benice2


彼はあるポーランド人の家族に目を向ける。母や3人の娘、家庭教師、そして一人の少年。

彼の眼は奪われた。その少年の、この世のものとは思えぬ、

畏怖さえ感じられる美貌に打ち震えた。

その少年は、彼が長年追い求め、あるときには彼を苦しめた、「美」の体現のように思われた。

彼は美の虜となった。

death in benice3


熱い季節風、シロッコによって空は鉛色によどみ、

避暑にきた彼はうんざり。

death in benice4

さらに過去の美に対する苦悩を思い出し、あの少年が彼の心に深く焼きつき、

ますます彼の心は重く憂鬱になっていった。

death in benice5


彼はこの地を立ち去ることを決意するが、少年を想う心が彼の決意を揺るがせた。

しかし、彼の荷物が手違いでスイスに送られてしまう。

death in benice6

それを知った彼は、すぐさまホテルへと引き返した。

あの少年、タージオとの再開に、グスタフは心躍らせていた。



グスタフは「美」を追い続けた。なりふり構わず追った。

death in benice7

数々の賞と栄誉で飾られた音楽家は、一人の少年によって征服されたのだ。



しかしこの頃、この地には死の影が彷徨っていた。

人気のない町並み、立ちこめる消毒液の悪臭、通路で燃やされる衣服。

death in benice8


コレラが蔓延していたのだ。

だがグスタフは去らなかった。極度の精神的疲労とコレラが体を蝕んだが、

タージオを追い、街の中を彷徨った。

death in benice9




浜辺の椅子に座り込み、最後の期を迎えるグスタフの眼に、タージオが映る。

death in benice10



さざ波の輝きの中に立つタージオの美しさに、彼の心は満ち足り、手を差し伸べ、息絶えた。



death in benice11





                               『ベニスが死す』 ─ 完 ─












スポンサーサイト
この記事のURL | 雑記 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン | 次ページ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。